2011年12月27日火曜日

パッケージ



パッケージの役割は、デザイン性を売ることではない。
贈り主が、贈る相手にどれだけ大事なメッセージを伝えられるか
そっと陰ながら、手伝うことが本来の役割。

人と人が、コミュニケーションをとること。
ある人は、感謝を伝える。
ある人は、愛情を交換する。
ある人は、相手の幸せを願う。
その時、最も大切なことは、
言葉を伝えることだ。
そして、その言葉を伝えるために、
贈り物というステキな方法がある。


「いつもありがとう」
「大切に想っています」
「元気で、笑顔でね」

それぞれの物語と想いが
贈り物には込められている。


2月の展示では、
それぞれの想いを、
贈り物という物語の形を作るお手伝いをする。

様々な言葉のカードを選んでもらい、
伝えたいメッセージをそれぞれのパッケージに
つけていく。

素材は、半紙。
和紙を薄く丈夫に仕立てたこの紙は、
ずっと以前から、日本では、
大切な行事や手紙を書くとき
使われてきた、いわば、言葉を伝えるための
なくてはならないツールだった。

その古からの素材を
袋に仕立て、
手で編まれた毛糸のコモノをそっと入れて、
それぞれの言葉のカードと共に、
包む。
それぞれの想いをのせて。


それから、
布製「brown bag」もデザイン。
こちらは、少し大きめの贈り物を包む。
brown bagとは、もともと、
アメリカでリンゴやサンドイッチなどを入れて持ち歩く
ランチボックスのようなもので、
分厚いざらっとした紙袋をくしゃっとさせて
子供たちが持ち歩いていたりする。
やわらかな帆布を使って、
ランチボックスにも、モノ入れにもなるbagに仕立てた。

展示は、
2012.02.03 - 02.14
鎌倉、アトリエキカにて。
お菓子作家たなかれいこさんのフランス菓子と
「manuoku+クロセミキコ~布と毛糸の贈り物」。

毛糸のコモノは、
アートディレクター・グラフィックデザイナーでもあるクロセミキコさんが
1点1点心をこめて作ってくれている。
毛糸を手に入れるために、スコットランドまで飛んで行ってしまうような
そんなステキな人だ。

今回私は、「布と毛糸の贈り物」の
パッケージのデザイン、アートディレクションを担当。

メンズのハンドメイドシャツも
セミオーダーという形で行う。

他、ハンプBagなど、
今、新たに進めている
企画ブランド「moani」のモノも
数点出展予定。

パッケージが、どれだけ人のお役に立てるか、
久々に、腹にきゅっと力を入れて
コンセプトとデザインを考えることに勤しむ日々。。。


最近の小さな旅


近頃、東京駅の構内でお弁当とお茶を買って、
少し遠くへ行く。
小さな旅の気分を味わうことが気に入っている。

ほうじ茶とおにぎりとか、
カツサンドと温かい緑茶とか、
シンプルであるほどよい。

仕事だったり、用事だったり、
それは移動することに過ぎないのだけど、
そういう旅の気分でいることで、
瞬間瞬間が楽しくなる。

お弁当を食べたあとは、
ひたすら読書だ。
旅のお供には、やっぱり、村上春樹。
電車の窓から入り込む冷たい風を感じながら、
「ノルウェイの森」を読むと、
心に染みるものがある。

2011年12月25日日曜日

気と心


日本人としてのスピリットについて、ずっと考えつづけた2011年。

淀みのない考え方、
シンプルで、無駄がなく、
礼と儀を重んじる、
すっとした心意気。

3.11の約1週間後、
福井にいる祖母の見舞いに行きがてら、
静かな雨の降る京都の庭を訪れた。

震災の影響もあり、その禅寺にいたのは、
ほぼ私1人だった。
そのとき、その場所に宿る、京都の先人達が、
何かとても大切なことを私に告げた。

それは、日本を守り育ててきた先人達が
様々なことを乗り越え、この土地を現代まで
創ってきた、ということだ。

大変なのは、今だけではない。
いつの時も、大変なことはたくさんある。
嘆いているのではなく、
できることをやる。
くっと、腹に力を入れて、
進んで行け、と。

そのときの空気感も全て、
鮮明な記憶として、私の中に残っている。
その庭の水は、とても透き通っていて、
淀みなど、存在しなかった。

日本人としての、気と心。
それは、決して生易しいものではないけれど、
私たちの奥深くにきっと根づいているはず。

京都から東京に戻り、
庭について、私は勉強し始めた。
それは、庭というものが、
日本人の考え方の原点が現れていることに
気付いたからだ。

もっともっと、気と心について、
深く知りたいと思う。










2011年12月4日日曜日

ひとのためを想う。


2月、鎌倉にて「贈り物」をテーマにした展示会を企画することに。

だれに何を贈るか、というのは
とてもパーソナルなものだけど、
共通しているのは、
相手を喜ばせたいという温かい気持ち。
「いつもありがとう」
「とっても大切に想っています」
それぞれの、ほんわかした気持ちを
どう伝えるのか。
そのお手伝いをさせてもらうことが
今回の展示会の役割。

アイデアあふれる大人かわいい小物たち。
その大切な贈り物を包むパッケージとカード。

こころで考えることが
企画の仕事。

もっと感じて考えなくては・・・・

展示は、鎌倉アトリエキカにて。
詳細は後日。



2011年12月1日木曜日

おばあちゃんの手仕事


友人sayoちゃんのおばあちゃんの手仕事プロジェクト`teto'。

やさしさと丁寧な心がぎゅっと詰まった
とても温かい空気が流れる展示会。

そのレセプションの席で、
いつもステキな佇まいの大人の女性が、
着物姿で現れた。
聞けば、その女性のおばあちゃんが
手紬であつらえた生地なのだとか。
大切に保管されていた生地を
家族それぞれが染め直し、
着物に仕立てたのだとか。

おばあちゃんと自分の間にある
宝物のような、時間と思い出。

tetoが生み出す、
温かいモノたちに触れていると、
そんな大切なことを、ふっと思い出したりする。

teto
「さあ、冬じたく」展 
at TORi 中目黒
http://www.teto-grandma.com


2011年11月23日水曜日

トキノスゴシカタ


オアフ島で滞在した「ブレーカーズホテル」は
長年定宿にしている人が多い。
自分で旅のスタイルを作りたい人には
ぴったりの場所。

毎日見かけたアメリカ人の老夫婦の過ごし方。
朝からプールサイドで本を読み、
暑くなったら、プールにどぼんと入る。
そして、また読書。
お腹がすいたら、部屋のキッチンで
(調理器具も全て各部屋に揃っている)
料理をして、
夕方になったら、ワインをゆっくり飲みながら、
また、プールサイドで読書。

いつもとは違う場所に移動しても、
いつも通りの休日をあえて過ごすそのスタイルには
ため息が出た。


2011年11月18日金曜日

九州の旅

友人sayoちゃんのWEB MAGAZINE makanaがいま故障?中なので、
今回はこちらに、掲載予定だった記事をUP!



それはすごい光だった。
雲に覆われていた高原の空から降り注ぐ不思議な光。
「星が見たい」唐突に思いつき、九州に住む知人に連絡したところ、それだったら・・・と案内してくれた場所での突然の出来事。

熊本県阿蘇郡の美しい村、南小国町。
光と水が溢れる豊かな土地。九州には筑後川という大きな川が流れているが、その源流がこの村だという。阿蘇山の外輪山にあたるこの場所は、放牧地の原野と森林が8割近くを占め、どこを歩いていても川の流れる音がする。
ジャージー牛と呼ばれる、赤茶色のきゅっと引き締まった体の牛たちが、お椀のような形の原野で、とても気持ちよさそうに集まっていた。

南小国町から、やまなみハイウェイという道を通って車で大分方面に向かうと、原野の風景が一斉に拡がる。一面、ススキの海。そんなとき、車中にものすごい光が射しこんだ。あまりに感動して涙が出そうになった。一瞬、ここではない違う世界に来てしまった、そういう気持ちになったのだ。

実は、前日予約しておいた温泉宿で、星が観測できる場所があり、すごく楽しみにしていたのだけれど、雨が降って空が曇ってしまい、ほとんど見ることができなかった。かなりのショックで、すこしぼんやりしていたときに、私の心を打ったのが、茶色い牛たちの姿だったのだ。こんなに幸せそうに過ごす動物を見たことに驚いたのだ。

そんなに牛が気に入ったのなら・・・と知人が進めてくれたのが、しぼりたての牛乳で作られたプリンとソフトクリーム。あまりの美味しさに、子供のようにバクバクと食べてしまった。


その日泊まった、蔵を改装したという農家の宿。
ストーブがなかなかつかなくて、宿のお父さんに来てもらう。それでもなかなかつかなくて「なんでかな・・」というお父さんに、「あんなにきれいな赤い色の牛を見たのは、私初めてです!」と興奮を伝えると、「あー、めずらしいかね。あれはね、昔、山に入って牛を連れて行ってね。山の上にある、原野っていうのは、草を焼いて、土壌を育ててね、また生えてきた草を牛に食べてもらって。森っていうのは、人間の手入れがいるわけ。だから、こそバランスよく成り立つんよ。それと、牛ね。」と教えてくれる。
日本は、平野部の多い海外の農家と違って、山間部を切り開いて畑や稲作を営む農業がほとんどで、それには、自然と共に生きていくための細やかな手入れが欠かせない。大量に作って、一定の値段で売る、というシステムではなくて、日本の土地にあった農業のやり方があり、村のあり方がある。美味しい野菜やそこにしかないものを作って、いろんな人とのつながりを大切にしていけば、いいシステムが生まれてくるはず。
宿のお母さんが作ってくれたテーブルに並びきらないほどの料理の数々を、ゆっくりと頂きながら、牛や野菜やお米、それを一生懸命育てている村の人たちの事を考える。


次の日の朝、一日に2回しか来ない、空港までのバスに乗るため、慌ただしく準備をしていると、「朝ごはんできたから、熱いうちにね~」とお母さんに呼ばれる。大きなフワフワした卵焼きと、栗を炊いたもの、サツマイモをぱりっと炒めて甘く煮含めたもの、採りたて野菜のサラダ、カリカリ梅、10種類以上の漬物、炊きたてのご飯と、あたたかいお味噌汁。昔、おばあちゃんの家で、安心しきってお腹いっぱいご飯を食べさせてもらったことを思い出して、何とも言えない気持になった。


実は、このお母さん、この宿を切り盛りする大黒柱。勉強のために、海外にまで行ってしまうのだ。石窯をどうやって作るのかを知るためにイタリア、村のあり方を見るためにスコットランド。そうやって、センスをどんどん磨いて、宿に取り入れている。とにかくアグレッシブで、笑顔が絶えない。




お母さんやお父さんに見送られて、まもなく、宿を出発。
空港に向かうバスの中で、前の日に村の売店で買っておいたヨーグルトジュースを飲む。
田舎のおばあちゃんの家から帰るときのような、なんだかとても切ない気持になった。

★宿は、農家の宿「さこんうえの蛙」。
869-2403 熊本県阿蘇郡南小国町大字中原4746-1
TEL/FAX 0967-42-0766
詳しくはHP http://saconue.com




2011年11月15日火曜日

九州へ。


空と地がつながっている。
九州は、そんな土地だ。

光と風と水と植物があれば、
あとは何にもいらない。
そんなシンプルなことに気付かせてくれる。

水やお米や野菜をたくさん吸収して、
おいしい空気をたくさん吸い込んで、
東京に戻ってきた。
大切な何か、ぽっと心が温まる何か、
とてもいい何かを
こころにたくさん蓄えてきた。

導いてくれた人と土地に
感謝。


2011年10月29日土曜日

カワルトキ


自分の状況がコクコクと変化していくときがある。
それは、自分が意図していないもので
受け止めていくうちに、
ここに集約されるために今までがあったんだな、と
いつか納得する。
季節の変化を受け止めて、
いつの間にか成長している植物と同じように。

昨夜見たイヴサンローランのドキュメンタリー。
44年間、ずっと女性のために、服を作り続け、
60代で引退したときのスピーチが冒頭で流れる。

「最後に出会えたのは、自分自身だった。」

女性が胸を張って生きていくための服を作るために
全てを捧げてきたサンローランが、
自分自身に立ち返れた瞬間。

デザイナーとして、というよりも
1人の人間の生き方として、
圧巻の一言につきる。

2011年10月17日月曜日

布の仕事とは?


Hawaiiのビショップミュージアムに飾られたハワイ王朝のドレス生地。
完璧な仕事。
そういう仕事を目にする機会に巡り合えると、
全身、緊張が走る。

昨夜たまたま見たドキュメンタリーで、
三宅一生さんが発していた言葉。

「社会に求められたものを察知して、デザインをする。
ワンシーズンではなく、
ずっと着てもらいたいと思って、
服を作りなさい。」
デザインのためのデザインになってはいけない。
人のために作るのが衣服であり、
ベースは、布地が全て。
あくまで、デザインは、
裏方の仕事。
だからこそ、一切の手抜きは許されない。

言葉で、全身緊張したのは久しぶりだった。


2011年10月15日土曜日

家で過ごす


年々、お休みの日にやることは、的が絞られてきた。
・旅(近くとも遠くとも)
・体と肌のメンテナンス
・お掃除
・庭仕事
・一度に何冊も読書
・キッチンに入り浸る

とくに、掃除はかなりのリフレッシュで、
場所を決めて、徹底的にやる。
ちなみに、先週は、洗面所。
今週は、キッチン。

掃除をしている間に色々な発見や思いつくことが多い。

掃除をしてきれいになったキッチンで、
料理をしたり、コスメを作ったり。
さらに、今夜は、これからつまみを作って、
母と2人、ワインで・・・

色々なところが淀まないことが、
楽しさの秘訣。



2011年10月12日水曜日

そろそろ


ガーゼのドレス。
今年はキルティングを試す。
古びれば古びるほど味わいを増すキルティング。

生地は、ローズゼラニュウムのフレッシュな花びらで染めた
淡いピンク色のガーゼ生地。
洗って使う程に、アンティークのインナーのような
色合いになるだろう。

そろそろ、カッティングして縫わないと、ね。

2011年10月10日月曜日

願い事。


「自分の頭の中をクリアーにして、
本当にやりたいこと、やってみたいことを3つ挙げる。」
知人から投げかけられた問い。

ある人は、まったく異分野の3つを。
ある人は、3つなんて絞ることはできない、と。

とある大人の女性が、
「本当にやりたいと願うことは、一つでないと、本当ではない」
と、あとでこっそり教えてくれた。

本当に生涯に渡ってやりたいことが一つあり、
それを貫くために、実行していると、
色々付随することがどうしても出てくる。
結局は、一つの目標に向かって、
色々なことをする。
それが、実現する方法だ、と。

ちなみに、その素敵な女性は、
家族のために、毎日努力を積み重ね、
ジュエリーのブランドを一人で成功させた。

背筋のピンとした女性に出会うと、
本当にうれしくなる。

私もがんばろう。


2011年10月4日火曜日

花の色


色を出す。

アルコールやビネガーに、ドライになった
花々を浸しておくと、
艶やかな色が再び生まれる。

アルコールで抽出されたエッセンスは、
フェイス・ボディウォーターに。
ビネガーで引き出された色は、
布地の大切な色に。

艶やかだったエッセンスの色は、
一転、
布の淡い柔らかな色に変化する。

すっかり花の色に
取りつかれている日々。


2011年9月28日水曜日

花を記憶する。


ぱっと湧いたイメージを、すぐにカタチにするよりも、
ずっと思いためてきたものを、じっくりと練って、
カタチにしていくことを大切にしたい。

この2年、ずっと思いためてきたことは、
植物との関係を、どうカタチにするかということ。
出てきた答えが、
花を記憶する、というテーマだった。

花びらに含まれる成分を布に付着させることで、
花という記憶を永らえる。
それを、身に纏ってもらうことで、
新たな花の展開が始まる。

植物は、花を咲かせることで、種という後継者を残す。
永遠の命。







2011年9月23日金曜日

モノゴト ハ ナガレルヨウニ


植物と向き合っているとき、自分の中に知らず知らずの間にたまってた
いろんなものが、すっと流れていくような気がする。

久々の大きな台風で傷んでしまった植物のメンテナンスをして、
掃除をして、水をたくさん浴びせると、なんとなく光がもどってきた。

秋の種まきにも、やっと取り掛かれる。
今日まいたのは、イタリアのルッコラとフランスのムスクマロウ。
丈夫に育ってくれればよいけれど・・・

最近、やっと肩の力が抜けてきて、
大事なことが見えてきた。
かつては、あんなに力が入っていたのね、と俯瞰できるぐらい。
そういうときは、スパイラル方式でマイナスに向かってしまう。
力が入ることで、学習していると思い込んでいたけれど、
もっと、自分の可能性を拡げる気持ちで、
自然の流れに乗っていけば、
いろんな方面から楽しいことや嬉しいことがやってくる。

今目指しているのは、
持続可能な
モノづくりに取り組むこと。
オーガニックの染織にも、菜園をつくることからやっていきたい
と願っているし、
生地にしても、それが作られている背景を伝えることはとても
必要だと思う。

服をつくることや、香りのものをつくることは、
野菜や花を育てることと、全く同じ。

気持ちよさを伝えることが、
自分の役割だと思っている。






2011年9月15日木曜日

コタエ ハ ジブン ノ ナカニ


3分11秒で、世界から21人の監督が、センス オブ ホームをテーマに
ショートフィルムを作り、奈良で上映された。
ナチスやソ連の侵攻のため、
リトアニアから難民として逃れた経験のある監督の印象的なインタビュー。
「故郷は、どこにもない。でも、自分が土地を愛することができれば、
そこが故郷になる。全ての答えは、自分の中にある。」

ホームHomeとは?
家。故郷。森。自然。そして地球。
どんな単位であっても、
答えは、自分の中で見いだすしかないのだ。
それが、最も尊いことなのだから。

2011年9月11日日曜日

秋の夜長


夜もだいぶ涼しくなり、なんとなく東京は秋。
そうなると、がぜんやる気が出てくる。
秋の夜長は、一年で最も好きな時期。
読書に集中することができるから。

昼間の近所の散歩も楽しくなり、
夜に読む本を探しに行く。
近所の大きい図書館は、
司書のセレクトやセンスがとても良く、
たいてい2週間に1度、訪れては、
10冊近く選んでくる。

ジャンルは、様々で、
最近のヒットは、
杉本博司という美術作家の本。
芸術の記憶を形にする、というアート性とそれを語る文章は
圧巻。

学ぶことや知ることは、
自分を磨く、一番のエッセンス。

2011年9月10日土曜日

真鶴


母と二人旅。
真鶴へ。
旅はどこがよいかと本屋でぱらぱらと雑誌をめくっていたら、
おはやしと呼ばれる森が、400年近く、真鶴という土地で、
住民の手によって育てられている、と、
一枚の森の写真と共に紹介されていた。

直感的に、ここは訪れてみなければ、と思い、
電車でことこと揺られながら向かう。

真鶴の駅を降り、小さな割烹料理屋に入る。
偶然の出会い。
鎌倉でアンティークのお洋服店を営む
とても大好きな夫婦が、目の前の席に座っていた。
お互い、なんで、ここに・・・と、
しばらくぼうぜんとしたのだけれど、
お店も住居も、秋に真鶴に移すのだとか。
なんというタイミング。

掛け軸の絵のように
上品に盛り付けられた、地魚のお寿司をいただいた。
いままでいただいたお寿司の中で、一番だった。
なんというか、ただの魚ではないのだ。

「魚を育てる森」として、大切にされているおはやし。
大きな樹木が海に影をつくり、魚に安息を与え、
林で濾過されたミネラル分を多く含む水が海に流れることで
味の良い魚が生まれるのだという。

店を出て、バスに揺られながら、
おはやしの入口にたどりつく。
予想通り、とても優しい森で、
ふかふかの土の上を歩きながら、
風や光や、波の音に耳を澄ませる。
全身、森に包まれているような、
安心感と気持のよさ。

二人が移り住む、というのも、
すごく納得がいった。

東京に戻り、母と二人、生ビールをごくごく。
あの魚は、すごかったね~と、言い合いながら、
文字通り、酒の肴にしながら、堪能した。








2011年9月2日金曜日

リスト


今週末にやりたいこと。

・マヨネーズをつくる。蒸野菜と共に。
・体の調子を整える。(肌とお腹)
・友人のフラショーを見に行く。
・写真家アンリ・カルティエ=ブレッソンのエッセイを読む。
・パリジェンヌのキレイの秘密という本を熟読する。

週末、やりたいことをリストにしておくと、
ぼーっとして、何もできなかった・・・ということが
ずいぶん少なくなる。
なかなかの充実感。
願いをはっきりさせれば、
実現できることの証。

今月にやりたいこと。

・来春にUPするもののコンセプト、絵型。
・サンプルづくりの開始~キルティングのケットと伸縮素材の服。
・シャンプバー、ボディオイルのための情報収集と勉強。
・フラワー染めの実験。

半年後に実現したいことは?

・海辺の町に、小屋みたいな、
Laboを兼ねた、アトリエになる場所を見つける。
内装から庭まで、自分で仕上げる。
その空間で、
香りのものと、布のものを
実験しながら作りあげていく。

どこの海辺の町にするかは、
もう秘かに決めている。
その町に流れる風と、空が
ずっと以前から大好きだから。




2011年8月27日土曜日

Flower Flower Flower



姫ひまわりという、ちいさなタンポポのような花たちで、
レイを作った。
小さな小さなお花たち。

気持のよい風が吹く、
ファーマーズマーケットの一角で。

ニードルという長い針に
花の大きさや向きを確認しながら、
5個単位で挿していく。
針の後ろに結ばれた糸に花をそっと落としていく。

花と向き合う、無心の時間。

レイは、花のアートの極致。







2011年8月26日金曜日

Hope


イラストレーターの友人である、ゆかちゃんに会いに行く。
相模湾の港町。
あまりにも空の色とむくむくの雲がきれいで、
いつもの通り、上ばっかり見て歩いていた。

夏の終わりを名残惜しく思いながら、
ビールをごくごく。
新鮮な魚と共に。
あー、幸せの極み。

ゆかちゃんとは、いろんな話ができる。
いつもレベルの高い仕事をする彼女だけど、
先日のHawaii展は、まさに圧巻だった。
仕事を超えた何か大切な物のために、
自分の奥底にある力を使い果たしたんだと思う。
そして、その力のわけみたいなものを
今日はじめて知った。
心が震える感じだった。

私も彼女も、この仕事に関しては、
まったく、我やじぶんのよけいなこだわりみたいなものは
捨て去っていたと思う。
失われていく何かのため、
土地の恩恵について感謝する気持ち。
そのために、お互い使い果たした。

それで、これからの方向性について、
ゆっくり会話を通して考えることができたのだけど、
一言で、Hope~望む、こと。
自分が暮らしていく土地に、希望を持つことだ。

映画、Milkでも、何度も出てきた言葉が、
そういえばHopeだった。
どんな状況でも、Hopeをもつこと。
それが、後世のためになるんだと言って
この世を去った、Milk。
いまでも、Milkの土地、サンフランシスコでは、
Milk記念日がある。
それは、きっと、サンフランシスコの市民が、
その地を培ってきてくれた人たちに対する感謝と
Hopeをもつことを再確認するためなのだと思う。

みんながHopeを忘れないように。





2011年8月25日木曜日

リスト


久々に、すこしまとまったお休み。
休みの間にしたいことを考える。

そういえば、
感覚を磨くために、
やりたいこと、
感覚的に心地よいと思うことを
リストにすると、大切なことが見えてきてよいのだとか。
大事にしていきたいこと、
自分の方向性、
自分の在り様、
そんなことが、クリアーになるらしい。
書くことは、前に向かっていくための、
自分自身との会話。

私自身が、具体的に今したいことは、
・秋の庭の準備、種まき、花の球根を探す
・レイモンド・カーヴァーの短編集と詩集を読む。
・ジャムを作り、パンケーキを焼き、淹れたてのコーヒーと共に食すこと。
・1950年代~60年代をフューチャーした映画を見ること。
できれば、イギリスの俳優が出演するもの(英語の発音と言葉の響きが綺麗だから)を
集中的に観る。ファッションやアートを観察しながら。
・好きなテイストのワインを見つける。
・ソロのチェロを聴く。
・オールインワンのウェアと、ドレープの美しいジャージニットのミニワンピースのパターンをつくる。

というわけで、今夜は、
ガス・ヴァン・サントのMILKを観て寝よう。
最近のヒットは、トム・フォードのシングルマン。
脚本といい、音楽といい、もちろん衣装も、俳優も、
ここまで完璧な世界感は、数年ぶり、と思えるぐらいの
できの良さだった。





2011年8月15日月曜日

記憶から、イメージする



行った先で、どこがよかった?
旅の後、よく聞かれることかもしれない。

そういうとき、返答に困ってしまう。
なぜなら、観光目的で旅をしたことがないから。
ピンポイントで言葉が出てこないのだ。

そのかわり、すごく印象的な風景やその場で感じた濃密な空気感は、
10年以上前のことでも、昨日のことのように覚えている。

それは、日常でも同じことで、
私の場合、人を見ていることも多い。
とくに、かわいい人。
かわいい人というのは、
どこにでもいるような、綺麗で、というかんじではなくて、
その人自身にしか出せないような空気感を持っている女の子。
そういう子は、シルエットだとか、しぐさだとか、
着ているお洋服の感じとか、だいたいトータルで記憶している。

それで、お洋服のデザインだとかを考えるとき、
そういう子が、たとえば、海辺を散歩している感じ、だとか、
あらゆるシーンを想像する。
この場面では、こういうものを、さらっと着ているかな、とか。
ある種のストーリーみたいなものがイメージできると、
デザイン画に起こせる。

デザインは、イメージがすべて。。。






2011年8月12日金曜日

眠ること。


Hawaiiを旅していたとき、毎晩、ホテルのプールサイドに出て、空を眺めていた。
星をみたり、風を感じたり、ヤシの木が揺れる様なんかを見ていた。
それは、とても不思議な感覚で、空と自分と地が全て一体になった感じで、
自分がどこにいるのか、よくわからなかった。
そうして夜を迎えると、次第に眠くなってきて、ベットでゆらり。
Hawaiiにいる間は、
毎日早寝、早起き。朝6時には自然に目が覚める。

日本に帰ってきてからも、その感覚を忘れることができず、
夕方になると、空ばっかり見ている。
雲の形だとか、光だとか、夕日がつくる光の情景は、
どんな芸術よりも、本当に美しいと思う。

福岡県に星野村という、星が最高に綺麗で、
天文台に泊まりながら星を見れるという話を聞いた。
福岡にいる、知人にその話をしたら、
星が綺麗なところは、九州中、いっぱいあるのよと。
ふーん、そうなんだ。

夏が終わり、涼しくなったころ、
星を見に、福岡まで行くことになった。

禅の世界では、自然と一体になることが、
悟りの境地だとか。
自分を解放して、新たな自分に気付くこと。
答えは、自分の中にある。

眠ることも、本来、そういうことなのかもしれない。

今は、眠るときのためのモノを作るために、
日々、根っこになる考え、素材、アイデアを
考えている。
眠りってなんなんだろう、とか、
心地よさってなんだろう、とか。

それは、いつも、夕方空を眺めながら、
ふっと湧いてくることだったりする。

さて、眠りますか。




2011年8月11日木曜日

原点に、帰る。


久々に、茅ケ崎に行った。
自分にとっては、大切な仲間たちとの、ものすごく濃密で、宝物みたいな土地。
27歳から4年間、私を育ててくれたところ。

友人が、茅ケ崎の海岸で、アウトリガーカヌーのレースに参加するとのこと。
海岸沿いには、ランニングコース(理想的な)があるので、せっかくだからと、ウェアとシューズをバックにつめこんで、
出発。

西から東へと、フォームを確認しながら、ゆっくりとウォーキング&ラン。
風が、すごく心地よい。
東側につくと、綺麗なカヌーが海岸に到着した。

友人のゴールしたときの顔が、本当にすてきで、思わず、こっちも笑ってしまう。

茅ケ崎の、濃密な時間を共にすごした友人の1人も、自転車で到着。
シャワーをあびて、ビールを飲みに。

思い出の道、風景、風、海。
すたすた友人と歩きながら、
この土地が、守ってくれていたんだな~と、ノスタルジックな気持ちになった。

茅ケ崎は、当時、仕事仕事仕事、朝から晩まで、仕事漬けの日々で、
空なんか、ちゃんと見れていなかったし、
空気の心地よさも感じ取れていなかった。
ちょっとだけ、大人になった今は、よくわかる。
ここだったから、あんなに奇跡みたいなことができたんだな~と。

これまでと、これからを考える。
そのとき、原点の風景は、
自分にとって、とっても大切な存在になっていることに気付く。

4年間という期間だったけれど、
私には10年分ぐらいの時を過ごしたぐらいの想い。

みんなありがとう。
今の私があるのは、みんなのおかげですよ!




2011年7月21日木曜日



海辺の町での夏の展示。
無事、終了しました。
予想以上に、お庭や1891というスペースを見に来てくれる方が多くて、とっても嬉しく思いました。
お庭で、ぼーっと時を過ごされる方、大事なお話をされる方、
虫を観察する人。
地に根付いた緑があるだけで、色々な反応があるんですね。

それから、色々な再会があり、人と人とのつながりって、すごいな~と思います。
関わってくれたメンバー、来ていただいた方、みなさまに心より感謝いたします。

ちょっと、展示の様子を・・・











また、来年も、パワーアップして、みなさまにお会いできることを願いつつ。。。
お庭も、秋に向けて、また準備です。