2011年11月23日水曜日

トキノスゴシカタ


オアフ島で滞在した「ブレーカーズホテル」は
長年定宿にしている人が多い。
自分で旅のスタイルを作りたい人には
ぴったりの場所。

毎日見かけたアメリカ人の老夫婦の過ごし方。
朝からプールサイドで本を読み、
暑くなったら、プールにどぼんと入る。
そして、また読書。
お腹がすいたら、部屋のキッチンで
(調理器具も全て各部屋に揃っている)
料理をして、
夕方になったら、ワインをゆっくり飲みながら、
また、プールサイドで読書。

いつもとは違う場所に移動しても、
いつも通りの休日をあえて過ごすそのスタイルには
ため息が出た。


2011年11月18日金曜日

九州の旅

友人sayoちゃんのWEB MAGAZINE makanaがいま故障?中なので、
今回はこちらに、掲載予定だった記事をUP!



それはすごい光だった。
雲に覆われていた高原の空から降り注ぐ不思議な光。
「星が見たい」唐突に思いつき、九州に住む知人に連絡したところ、それだったら・・・と案内してくれた場所での突然の出来事。

熊本県阿蘇郡の美しい村、南小国町。
光と水が溢れる豊かな土地。九州には筑後川という大きな川が流れているが、その源流がこの村だという。阿蘇山の外輪山にあたるこの場所は、放牧地の原野と森林が8割近くを占め、どこを歩いていても川の流れる音がする。
ジャージー牛と呼ばれる、赤茶色のきゅっと引き締まった体の牛たちが、お椀のような形の原野で、とても気持ちよさそうに集まっていた。

南小国町から、やまなみハイウェイという道を通って車で大分方面に向かうと、原野の風景が一斉に拡がる。一面、ススキの海。そんなとき、車中にものすごい光が射しこんだ。あまりに感動して涙が出そうになった。一瞬、ここではない違う世界に来てしまった、そういう気持ちになったのだ。

実は、前日予約しておいた温泉宿で、星が観測できる場所があり、すごく楽しみにしていたのだけれど、雨が降って空が曇ってしまい、ほとんど見ることができなかった。かなりのショックで、すこしぼんやりしていたときに、私の心を打ったのが、茶色い牛たちの姿だったのだ。こんなに幸せそうに過ごす動物を見たことに驚いたのだ。

そんなに牛が気に入ったのなら・・・と知人が進めてくれたのが、しぼりたての牛乳で作られたプリンとソフトクリーム。あまりの美味しさに、子供のようにバクバクと食べてしまった。


その日泊まった、蔵を改装したという農家の宿。
ストーブがなかなかつかなくて、宿のお父さんに来てもらう。それでもなかなかつかなくて「なんでかな・・」というお父さんに、「あんなにきれいな赤い色の牛を見たのは、私初めてです!」と興奮を伝えると、「あー、めずらしいかね。あれはね、昔、山に入って牛を連れて行ってね。山の上にある、原野っていうのは、草を焼いて、土壌を育ててね、また生えてきた草を牛に食べてもらって。森っていうのは、人間の手入れがいるわけ。だから、こそバランスよく成り立つんよ。それと、牛ね。」と教えてくれる。
日本は、平野部の多い海外の農家と違って、山間部を切り開いて畑や稲作を営む農業がほとんどで、それには、自然と共に生きていくための細やかな手入れが欠かせない。大量に作って、一定の値段で売る、というシステムではなくて、日本の土地にあった農業のやり方があり、村のあり方がある。美味しい野菜やそこにしかないものを作って、いろんな人とのつながりを大切にしていけば、いいシステムが生まれてくるはず。
宿のお母さんが作ってくれたテーブルに並びきらないほどの料理の数々を、ゆっくりと頂きながら、牛や野菜やお米、それを一生懸命育てている村の人たちの事を考える。


次の日の朝、一日に2回しか来ない、空港までのバスに乗るため、慌ただしく準備をしていると、「朝ごはんできたから、熱いうちにね~」とお母さんに呼ばれる。大きなフワフワした卵焼きと、栗を炊いたもの、サツマイモをぱりっと炒めて甘く煮含めたもの、採りたて野菜のサラダ、カリカリ梅、10種類以上の漬物、炊きたてのご飯と、あたたかいお味噌汁。昔、おばあちゃんの家で、安心しきってお腹いっぱいご飯を食べさせてもらったことを思い出して、何とも言えない気持になった。


実は、このお母さん、この宿を切り盛りする大黒柱。勉強のために、海外にまで行ってしまうのだ。石窯をどうやって作るのかを知るためにイタリア、村のあり方を見るためにスコットランド。そうやって、センスをどんどん磨いて、宿に取り入れている。とにかくアグレッシブで、笑顔が絶えない。




お母さんやお父さんに見送られて、まもなく、宿を出発。
空港に向かうバスの中で、前の日に村の売店で買っておいたヨーグルトジュースを飲む。
田舎のおばあちゃんの家から帰るときのような、なんだかとても切ない気持になった。

★宿は、農家の宿「さこんうえの蛙」。
869-2403 熊本県阿蘇郡南小国町大字中原4746-1
TEL/FAX 0967-42-0766
詳しくはHP http://saconue.com




2011年11月15日火曜日

九州へ。


空と地がつながっている。
九州は、そんな土地だ。

光と風と水と植物があれば、
あとは何にもいらない。
そんなシンプルなことに気付かせてくれる。

水やお米や野菜をたくさん吸収して、
おいしい空気をたくさん吸い込んで、
東京に戻ってきた。
大切な何か、ぽっと心が温まる何か、
とてもいい何かを
こころにたくさん蓄えてきた。

導いてくれた人と土地に
感謝。