2012年6月15日金曜日

たそがれる


梅雨の晴れ間のきれいな瞬間。
きらきらとしたちょうどよいやさしい光と、つやつやした葉と嬉しそうに咲く花々。
大きく深呼吸をして、そんな楽しい瞬間を目にしながら、
いいことをたくさん思いつく。

8月のエキシビジョンの準備とその他のてんこ盛りのお仕事で
肩はパンパン、目はシバシバ、睡眠足らずの充分とは言えない状況でも
こころのつやつやさえ失わなければ、何とかなるし、
はっきり言って、幸せだ。

こころのつやつやは、
風を感じながらお散歩することで
生まれたりする。

つまりは、うまくたそがれること。
それだけでいい。


2012年6月10日日曜日

韓国へ

はじめて訪れた韓国は、人々が生み出すエネルギーに満ち溢れていた。

ソウル生まれの友人がはじめに案内してくれたエリアは、
岩でできた山と、大きな川と、アップダウンの激しい坂道。
韓国の人たちは、とにかくよく歩いている。
そして、歩いていると、なんとなくその土地の空気感みたいなものが
ちょっと分かってくるから面白い。

今回の旅の目的は、山のふもとにある尼寺と大きな生地問屋街。



尼寺では、それぞれの人がそれぞれの想いを抱えて、
ひたすら祈りを捧げている清い姿が印象的だった。
みんな、何を祈っているのだろう。
私も、心をからっぽにして、軽く目を閉じてみた。
その空気感で、心がいつの間にかフラットになって、緊張が取れた自分がいた。
そこでは、お昼御飯を頂くことができる。
数種類のナムルをご飯の上に載せてコチュジャンを添えて頂く。
ひとつぶひとつぶをかみしめながら。
気持のよい風が吹く、やさしい場所。

近くには、古い家を改装した茶屋があり、果物茶やら10種類以上のお茶を飲める。
身体が芯から温まり、そしてとても美味しい。
気付くと茶屋には、男性の姿はなく、女性たちが1時間以上話し込んでいる様子。
万国共通、女性に必要なのは、会話とお茶とお菓子だ。

尼寺を下ると、市バスに乗って南門市場にある籠のお店に行く。
そのお店は、100年近く続く籠専門店。
とにかく編みが素晴らしい。規則的な編み模様と、手触りと、そのたたずまい。
完璧だった。中でも、籠作りで有名な村があり、
今では作り手がおじいちゃん1人だけになってしまったという、美しい造形のその籠は
どんどん色がいぶしてきて、使い込むほどよくなるという。
昔は、嫁に行くとき、お米など大切なものを入れて、
両親が贈り物として持たせたものなのだとか。
ずっとずっと、大切にしますと、店主に告げた。


そして、友人に、最近おすすめの西側のエリアに連れて行ってもらう。
アートギャラリーやブックショップ、質の高いカフェがあり、とても静かな場所だった。
ブックショップでは、韓国の写真家による写真集を2冊手に入れた。
そのうち1冊は、チェジュ島というとても美しい島の写真だった。
私は、この街並みで実は一番気に入ったのが、お店の窓ガラスだ。
焼き物の青磁のような、翡翠のような色で、
透明ですべてが見えてしまうガラスではないところが
ムードがあり、すごく趣きがあってよいのだ。
今の旬の韓国の姿。

その夜は、鳥の中にもち米がたくさん詰めてあるサムゲタンのスープを食べに。
1年分の栄養を取った、という印象。
友人は、夏の間にあともう2回食べるという。
韓国の風習なのだとか。すごいエネルギーだ。

そして、次の日の朝。
東大門という、大きな問屋街へ。
大きなビルの中に、いくつもの布関連の問屋が入っていて、
とにかくみんな「仕事」。
片手に、何反も生地を抱えるアパレル関係の人や、
生地を飛脚のように運ぶ運搬のおじさんでとにかく溢れている。
友人に通訳してもらいながら、どんどん生地をカットしてもらう。
レース専門店から、シルク専門店、ニット生地専門店など。
生地のレベルの高さ驚く。
そして、なにより扱っている人の目が真剣で、それぞれの人がステキだった。
この人が作っているから、大丈夫、という安心感がある。

そして、これから、その生地をどう形にしていくのかが楽しみだ。
でも、そこには、韓国の人たちのあったかい想いが、
ギュッとつまっているはずだ・・・