母と二人旅。
真鶴へ。
旅はどこがよいかと本屋でぱらぱらと雑誌をめくっていたら、
おはやしと呼ばれる森が、400年近く、真鶴という土地で、
住民の手によって育てられている、と、
一枚の森の写真と共に紹介されていた。
直感的に、ここは訪れてみなければ、と思い、
電車でことこと揺られながら向かう。
真鶴の駅を降り、小さな割烹料理屋に入る。
偶然の出会い。
鎌倉でアンティークのお洋服店を営む
とても大好きな夫婦が、目の前の席に座っていた。
お互い、なんで、ここに・・・と、
しばらくぼうぜんとしたのだけれど、
お店も住居も、秋に真鶴に移すのだとか。
なんというタイミング。
掛け軸の絵のように
上品に盛り付けられた、地魚のお寿司をいただいた。
いままでいただいたお寿司の中で、一番だった。
なんというか、ただの魚ではないのだ。
「魚を育てる森」として、大切にされているおはやし。
大きな樹木が海に影をつくり、魚に安息を与え、
林で濾過されたミネラル分を多く含む水が海に流れることで
味の良い魚が生まれるのだという。
店を出て、バスに揺られながら、
おはやしの入口にたどりつく。
予想通り、とても優しい森で、
ふかふかの土の上を歩きながら、
風や光や、波の音に耳を澄ませる。
全身、森に包まれているような、
安心感と気持のよさ。
二人が移り住む、というのも、
すごく納得がいった。
東京に戻り、母と二人、生ビールをごくごく。
あの魚は、すごかったね~と、言い合いながら、
文字通り、酒の肴にしながら、堪能した。
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